「ビリーフリセット®︎」をゆる~く解説するシリーズの5回目。
《1. ざっくり概要編》 《2. 原因編》 《3. 目的編》 《4. 行動パターン編》と続きました。今回は、ビリーフの「構造」について、そして大元の核となる「コアビリーフ」とその種類についてお届けします。
このシリーズでは、信念(自分のアイデンティティを支える大切な考え)と区別するために、
ビリーフ = 自分の存在を否定したり行動を制限するなどの、自分を縛る考え
と、定義して進めています。
雰囲気はゆるいのですが、今回はちょっと、イラストがないとキツいかも?・・・な内容です。
自己否定の「コアビリーフ」と「防衛ビリーフ」
潜在意識の一番深いところにあるのが、核となる自己否定の「コアビリーフ」です。
これが「自分の定義」や「世界の定義(世界観)」となり、自分のキャラクターと自分が生きる世界を設定する大元となります。
「自分のキャラクターと人生の脚本は、自分で決めている」
とよく言われますね。
大元の設定次第で、自分の行動や周囲の人との関わり方、選ぶ環境などが大きく変わってきます。
自分を否定的に定義づける「コアビリーフ」とは、例えば、
- 自分は、ダメな人間だ
- 自分は、生きる価値のない奴だ
- 自分は、邪魔な存在だ
- 自分は、ゴミだ
など。
そしてその「コアビリーフ」を大元にして、それをバレないように隠すため、そんな自分を守るため、行動のためのルールとしての「防衛ビリーフ」を、自分で無意識に作り出します。
そしてこれらのビリーフ(考え、思考)が生き残るための戦略となり、行動の結果として現実が作られていきます。
↑ この辺りは、《1. ざっくり概要編》 も参考になさってくださいね。
9種類のコアビリーフ
ビリーフは「考え」「思い込み」「信念」「観念」なので、目に見えないものです。
「なんとなくそういう感じ」とか「そういう気がする」という「感」「気」「観」「念」なんですね。つまり実態はないわけです。
そして、その実態のない「感」にもパターンがあり、ビリーフリセット®︎心理学では「コアビリーフ」を9種類に分類しています。
1. 欠陥ビリーフ
(そのままの、本当の)自分には、欠陥がある、ダメな(気がする)2. 無価値ビリーフ
(そのままの、本当の)自分には、存在価値がない(気がする)3. 罪悪ビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、罪深く悪い人間(な気がする)4. 被害ビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、攻撃され被害に遭う(気がする)5. 見捨てられビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、いつか見捨てられる(気がする)6. 愛情失望ビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、愛されない(気がする)7. 異質ビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、異質で孤立する(気がする)8. 無力ビリーフ
(そのままの、本当の)自分には、何の力もない(気がする)9. 存在否定ビリーフ
(そのままの、本当の)自分は、存在してはいけない(気がする)
では、順番に解説していきましょう。
欠陥ビリーフ
「自分には生まれつき欠陥がある、自分はダメな存在、つまらない人間だ」
という感覚、そういう気がするもの。
まるで自分に穴があるような、欠陥品のような感じがするもので、わざわざ足りないところを探したり自分を卑下したりという傾向があります。穴埋めしようとがむしゃらに頑張るなど、日本人に多く見られるビリーフです。
無価値ビリーフ
「自分には存在価値がない、愛される価値がない、自分は必要のない人間だ」
という感覚、そういう気がするもの。
何もしないと存在価値がない感じがするので、必要以上に役に立とうとする一方で、褒められても受け取れない、そして生きることに価値を見出せず無気力になる傾向もあります。これも日本人に多いビリーフです。
罪悪ビリーフ
「自分は邪悪な存在だ、罪深い人間だ、汚れている、心が醜い」
という感覚、そういう気がするもの。
罪悪感や申し訳ない感じがあり、まるで罪を償うような、自ら罰を求めるような感覚で生きる傾向があります。これもまた日本人に多くみられるビリーフで、不幸でいることに安心感やメリットを(無意識に)感じてしまうものです。
被害ビリーフ
「自分は、攻撃されて傷つけられる、裏切られる、なめられたり酷い目に遭う」
という感覚、そういう気がするもの。
常に警戒し人を疑い、バカにされたり傷つけられることを嫌って虚勢を張る傾向がありますが、内側にあるのは恐怖と怒りです。被害に遭うのを怖れるあまり、「やられる前にやってやる!」というパターンがよく見られるビリーフです。
見捨てられビリーフ
「自分はいつか見捨てられる、見放されて取り残される、愛想をつかされる」
という感覚、そういう気がするもの。
寂しがりやで、心の中はいつも不安でいっぱい。見捨てられないよう相手を見張ったり先回りしたりと、特に親しい人や恋愛対象の相手に対してその傾向が出ます。不安から相手に依存するパターンも多いビリーフです。
愛情失望ビリーフ
「自分は愛されない人間だ、どうせわかってもらえないし助けてもらえない」
という感覚、そういう気がするもの。
他人からの愛情や助けを求めない、期待しない、「どうせ」と拗ねる傾向があるビリーフです。人を頼れないので、結果的にひとりで抱え込んで破滅したり、「自立したクールな人」という印象になるせいでますます周囲の人と距離が遠くなります。
異質ビリーフ
「自分は異質な存在だから孤立する、みんなとは違う、居場所がない」
という感覚、そういう気がするもの。
周囲の人たちと比べて、自分の存在を全く異質なものに感じるビリーフです。「仲間はずれ」「受け入れてもらえない」「自分はこの場にふさわしくない」と不安を抱いたり、みんなに無理に合わせようとして、そのユニークな個性を抑え込んでしまうこともあります。
無力ビリーフ
「自分には力がない、決める力がない、自分の力では生きていけない」
という感覚、そういう気がするもの。
まるで赤ちゃんのような、なすすべがない感じがするビリーフで、自分で決められず人に頼ったり依存する傾向があります。子ども時代はまだなんとかなりますが、大人になってこのビリーフの影響が強いと、自分では何もしない、決めない、他人任せの、常に受け身の生き方となります。
存在否定ビリーフ
「自分はこの世に存在してはいけない、いない方がいい」
という感覚、そういう気がするもの。
存在することを自ら否定しているので、生きていること自体が苦しく、常に生きづらさを感じるビリーフです。「生まれてこない方がよかった」「自分さえいなければ」と自分の存在を消す方向に考えが向かい、生きる気力がなくなってしまいます。
特にどのビリーフを強く持っているのか、その傾向や組み合わせは人それぞれです。そしてまた、ビリーフを1つも持っていない人間など、おそらくいないでしょう。
これらの違いは、感覚や感じ方、ニュアンスの違いなのですが、共通するのは、
自分の「存在そのもの」を、自分で否定している
ということなんです。
存在そのものとは
「存在そのもの」とは、スキルや経験、資格等の様々な条件 = 自分が持っているもの(I have)に関わらず、
今ここに、ただ存在している「自分(I am)」
のこと。
そしてビリーフによる自己否定とは、
「存在そのもの」に、自分で×を付けている
ということです。
知識や経験を積み上げたりスキルを磨くことは、人の成長や進化にとってとても重要です。
けれど、もし「やり方」や「生産性」だけで人間の価値を図ろうとするのであれば、それはAI(ロボット)と何が違うのでしょう。
AIが進化し人間の代わりに「処理」「作業」「労働」を担ってくれる未来が身近になってきた今、「存在そのもの」「在り方」を無視した生き方は人を幸せにしないということを、多くの人はもう既に感じていると思います。
ビリーフは幼少期に身につけた生き残り戦略であり、それは実態のない「感」なのだと気付けたら、自分で自分にかけた「呪い」「勘違い」を解いて、
「存在そのもの」にOKを出す
その準備はもう出来ています。
そして「本来の自分」で、「個」を輝かせて生き、その「命」を活かす、
時代はますますそちらにシフトしていきます。
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