「ビリーフ」とは、人が持っている何らかの「考え」のことです。
直訳すると、『信念』や『確信』『信じ込んでいること』『思い込んでいること』などで、それ自体に「良い悪い」はありません。
ここでは、信念(自分を形成する、自分にとって大切な考え) と区別するために、
と、定義した上で進めていきます。
ちなみに心理学では似たような用語として、「メンタルブロック」や「バイアス(偏り)」「スキーマ」などいろいろありますが、まあだいたい同じ意味だと思ってかまわないです。
心理系が苦手な人にもわかりやすいように、ここら辺はざっくりです。
「ビリーフ」については、
- なぜできたのか( ← 原因)
- 何のためにあるのか( ← 目的)
その両方を知ると理解が進みます。
今回は、なぜできたのか、その「原因」についてゆる~く解説してみます。
「ビリーフ」は、いつ、どこでできた?
ビリーフ(自分を否定したり行動を制限する考え)は、大半が「幼少期から思春期」にかけて生まれます。
どこで?
「日常のあらゆる場面」で。
どのように?
「自分の勘違いや、外からの刷り込みによって」です。
では、どのように「勘違い」ができるのか、踏み込んでいきましょう。
「勘違い」が生まれる背景(ビリーフができた理由)
「勘違い」は、
- 「子ども」目線の想い
- 「大人」目線の想い
両者のすれ違いから生まれます。
子ども目線で見る、「ビリーフ」ができた理由
まずは「子ども」目線から。
赤ちゃんや小さな子どもが、一番欲しいもの、望んでいるものって何でしょう?
それは、
母親の笑顔
です。(いきなり、結論)
子どもは「母親を笑顔にするために」「母親を幸せにするために」生まれてくる、といっても過言ではないでしょう。
子どもは、お母さんが大好きです。
全身全霊で母親の愛を求め、全身全霊で母親への愛「お母さん、大好き!」を表現します。
無条件かつ無償の愛を求め、自分もそれを母親に与えようとします。
母親を喜ばせることが自分の喜びであり、そのためにあらゆる手を尽くします。
子育て経験者なら、わかると思います。
自分の子ども時代のエピソード(悲しかった、悔しかった、わかってもらえなかった等)を思い返して、あのとき本当に自分が心の底から願っていたものは何だったのかを掘り下げていくと、
「ただ、お母さんと一緒にいたかった」
「お母さんを困らせたくなかった」
「お母さんを守りたかった」
「お母さんに笑ってほしかった」
と思い至る人は、とても多いのではないでしょうか。
また一方で、子どもにとって母親の存在は、
神(絶対的存在)
でもあります。
この世に生まれ落ちた瞬間から(お腹の中から)、子どもは母親に守ってもらわないと生きていけません。
そして子どもは、家庭(家族)以外の世界を知りません。母親、父親、兄弟姉妹や同居している人(血縁は関係なく)との世界が全てです。
- 母親 = 神
- 母親を含んだ家庭環境 = 世界
なので、母親が怒っていたり家庭環境(家族)が平和でない場合、それは子どもにとっては「神の怒り」「世界の危機」なんですね。
そこで、
「どうして、お母さんは怒っているんだろう?」
「何で、みんな機嫌が悪いの?」
「どうしたら、うちは平和になるの?」
と、疑問が生じるわけですが、その疑問を、わからないまま「ま、いっか」と放置することはできません。
ご飯を与えてもらえるかどうか、
お世話をしてもらえるかどうか、
家にいさせてもらえるかどうか、
この家(環境)は安全なのかどうか、
つまりそこには、子ども自身の生死がかかっているため、「ま、いっか」では済まないのです。
また、人間の「脳」には「問いを立てると答を探す性質」があります。
「答がわからない」というのは自分でコントロールできない不安な状態なので、「脳」は生きていく上でのリスクと判断し、その状態を嫌うのです。
そこで子どもは、無意識にその答を探し始めます。
あれかな?これかな?と必死に考え、そのわずかな経験値から導き出した答が、
「それは、私が悪い子だから」(← 勘違い)
「私が良い子にしていれば、うちは平和になる」(← 勘違い)
(※「良い悪い」の意味付けや解釈は、その子によって違います)
になってしまうんです。
だって、小さな子どもには他に理由が見つからないから。そして答が見つかったことで「脳」は安心し、探すことを終了します。
また「脳」には「仮説を立てると、それを証明しようとする性質」もあります。
これは、「RAS(ラス)」と呼ばれるフィルターにより、必要とする情報だけを拾う「脳」の機能によるものです。
「 アンテナを立てると、その情報が多く集まってくる」とも言われますよね。
なので、「もしかして、私の『これ』が悪かったから?」と仮説を立てたら、「脳」はその証拠集めを始めます。
- 試しに『これ』を選択したら? → 母親(大人たち)が不機嫌 → 『これ』はダメなんだな
- どうせ『これ』を選択したらダメだよね → 母親(大人たち)が不機嫌 → ほら、やっぱり!
- じゃあ『これ』じゃない方を選択したら? → 母親(大人たち)が笑顔 → やっぱり『これ』じゃない方がよさそう
- また『これ』じゃない方を選択してみる → 母親(大人たち)が笑顔 → もう間違いないっ!いつも『これ』じゃない方にしよう!
という感じで、少しずつ強化されていくんですね。
こうして、「その環境の中で生き残るため」という生物的理由と「脳の性質」と「お母さんを幸せにしたい!」子どもの健気な愛により、壮大な勘違い「ビリーフ」が誕生します。
大人目線で見る、「ビリーフ」ができた理由
しかし大人目線で考えると、それは「勘違い」であることがわかります。
母親の不機嫌は、多くの場合子どもとは直接関係なく、母親自身の都合や事情(夫や姑など家族の問題だったり、職場での人間関係やママ友など)によるものです。
子どもの世話だけでも大変なのに、家事や自分の仕事、また地域のコミュニティや学校(保育園幼稚園)での役割もこなしたりと、ひとりで何役も担っているのが、「お母さん」という存在。
いつどんなことで子どもが喜んだり悲しんだり傷つくのかなど、そばで見ていれば気付くこともできますが、日々膨大な量の仕事をこなしている母親が、常に子どもの様子やその表情を見ているなんて不可能です。
だから「大事なその一瞬」を見落としたり、子どもの気持ちや変化に気付かなかったとしても、それは仕方のないこと。
子ども目線では、母親とは神のような絶対的存在ですが、大人目線では、母親は神でも何でもなく、
ただの、中年女性
です。
些細なことで怒ったりするし、嘘もつくし忘れるし、サボるし転ぶし、たくさん間違える、そんなフツーの人間です。
だからカウンセリング(ファミリーワークなど)で、そのビリーフが生まれるに至った背景を潜在意識の中で紐解き、当時の母親(父親やその他)の目線やそのときの想いがわかると、
「え?あれはそういう意味じゃなかったの?」とか、
「あのとき、本当はそんな風に思ってくれていたんだ」や、さらには、
「え~~!?お母さん、何にも考えてなかったの!?」など、
「それは、私が悪いからではなかった」(← 勘違いに気づく)
と、時空を越えて明らかになることがとても多いのです。
長年信じ込んできたその「考え(ビリーフ)」がリセットされる瞬間でもあります。
また、母親自身がたくさんの「ビリーフ」で自分を否定し、がんじがらめに自分を縛って生きている場合には、子どもを「信じて見守る」余裕を持てるはずもなく、
- 子どもを支配して思い通りにコントロールしようとしたり、
- 他人や世間の目を気にして子どもの無邪気な才能を抑えてしまったり、
- 過干渉やネグレクト(無関心)、虐待といった関わり方として表面化するなど、
母親の「生きづらさ」がそのまま子どもに伝わることになり、子どもの「自立」を阻む要因にもなります。
幼少期に親子間(養育者との間)で深い信頼関係を築くことが、その後の発達に影響を与えることから、この辺りの問題を「愛着障害」や「愛着の問題」として多くの方が研究なさっています。
「ビリーフリセット®︎」はその部分にメスを入れるツール、と言えるのかもしれません。
次回は、ビリーフは何のためにあるのか、その「目的」についてです。
また、ゆるゆるっとお付き合いいただけると嬉しいです。
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